ジャンボジェットなど旅客機で有名な宇宙航空企業ボーイングの CEO が、火星に人類を送り込むのはボーイングが一番乗りになると、スペースX やブルーオリジンを煽っているようです。
ボーイング社のCEOは5日、「ボーイングのロケットこそが最初に人類を火星に到達させるだろう」と宣言したのです。
おお、ついに大企業ボーイングまでもが火星競争に参戦するのか、こりゃ他の企業はうかうかしていられませんぞ、と思ったら、どうやら、これは NASA の次期ロケット「SLS」のことを言ってるふうだというオチ。
そして現在、ボーイングはNASAの大型打ち上げロケット「SLS(スペース・ローンチ・システム)」の開発/製造に参加しています。このSLSは火星の有人探査への利用も計画されており、最初に火星に到達する人類とはこのSLSの乗組員のことを指しているようなんです。(同上)
スペースXは、うまくいけば 10 年後くらいに火星に人を送り込むと言っていますので、SLS は、これよりも早くやるということで、NASA 相当アグレッシブに計画進めるんだな、ここから開発加速する宣言ですか、いやーアメリカ航空宇宙局やっぱスゲェわと感心しきりのところ、そうではないようです。
スペースX の計画は必ず遅れることを見越して、どちらかというと dis ってるというか鼻で笑ってるというか、いずれにしても宇宙ファンが喜ぶようなポジティブな意味ではないようです。
下記を読むと、確かに発表時は聞いた人が「まじでそんなに近い将来に!?」と衝撃を受けるスケジュールですが、現実はというと、予定どおり進んだことはなく、10年単位で大幅に延びることがデフォルトとでもいう状態です。
スペースXは将来の計画に非常に「楽観的」で、同社CEOのイーロン・マスク氏は2011年に、「3年以内に有人宇宙探査を行なう」と発言。しかし、現時点でその計画は2018年以降にまで遅れています。また同社の大型ロケット「ファルコン・ヘビー」の打ち上げも、当初の予定の2013年〜2014年からズルズルと先送りされています。(同上)
SLS での火星有人探査は 2030 年代半ばを予定しているそうで、ボーイング CEO は間違いなく 10 年以上の遅れを見込んでいるようです。素人から見ても、現在の宇宙開発の状況からして、2025 年に人が乗った探査船が火星に向かうことは実感が持てません。この見込みは当たりそうです。
私は SLS の2030年代半ばというのも遅れると思ったほうがいいと思います。アポロ計画の時と比べて絶対に負けられない競争相手がいませんから、宇宙開発はガチでやるものではなく、国としては片手間、民間としては金持ちの道楽ですからね。期限がありません。火星に巨大な資源が見つかったりすると事情が変わるのでしょうか。
火星探査について、網羅して解説しているサイトがありました。語り口もすごく優しくて分かりやすいです。今の状況を概観するのにオススメです。
ところで、私思うんですけど、
みなさんこぞって火星目指してますけど、まずは月に行ってみたほうがいいと思うんですけどね。月有人探査は実績があるわけですから行こうと思えば行けること、ISS で宇宙での活動の経験は蓄積されていますが、地球軌道上と宇宙航行はやはり違う経験で、出発して航行して着陸して探査して無事に帰ってくるという、一連の作業を通してやることは深宇宙探査の実践練習になること、宇宙に浮かぶのではなくて、地面に宇宙ステーションを作るための技術の蓄積が必要なこと、そのために必要な資材を現地で調達する方法を検証すること、他にもいろいろと火星を模した活動訓練ができる場所だと思います。先人の成果をダイレクトに活かすナイスな方法ですよ。一言で言えば「火星旅行のミニチュア版」ですね。
「月は行ったからもういい」とはならないと思うんですけどね。
[amazonjs asin=”B00SUEUQXE” locale=”JP” title=”(ボーイング) BOEING カーボン ファイバー プリント ネックストラップ 【Boeing Carbon Fiber Woven Lanyard】”]
コメント