ISS に無事に物資を届けた「こうのとり」こと HTV 6 号機ですが、任務が完了した後に、スペースデブリを減らすための実験をやる予定になっています。
HTV搭載導電性テザーの実証実験(KITE*)
軌道上の宇宙ゴミ(スペースデブリ、またはデブリ)の衝突による軌道上環境悪化を防止するためには、現在軌道上に存在している大型デブリの除去が有効です。
デブリ除去を低コストに実現するためのキー要素技術であるデオービット(軌道離脱)用高効率推進系として、導電性テザーシステムが有望と考えられています。
本研究では、「こうのとり」(HTV)を利用したテザー伸展と電流駆動の軌道上実証を行います。
* KITE:Kounotori Integrated Tether Experiments
これがどういう実験かというと、こうのとりからワイヤー(「テザー」というらしいです)を出して、こうのとりから出す電流と地球の磁力でフレミング左手の法則を発動させて、ワイヤーの近くを飛ぶデブリにブレーキをかける感じです、たぶん。
見た目はいまいちショボイ感じですが、
使われるワイヤーの長さが 700m というところで、実はエクストリームな実験であることがわかります。
どこかのサイトで、このワイヤー製作の苦労話みたいなのを見た記憶があるんですが、どこだったか忘れました。宇宙に持って行くから重さの制限があって、細くて強くするのが大変でしたみたいなの。
で、26 日の深夜に ISS から切り離されて、この KITE をやる段階に来た「こうのとり」ですが、どうやらこの肝心要のワイヤーがこうのとりから出ないとのこと。
今月28日に国際宇宙ステーションを離れ、宇宙ごみを取り除くための実験に臨んでいる日本の宇宙輸送船「こうのとり」6号機で、最も重要な宇宙空間への金属製のワイヤーの打ち出しができず、実験が中断していることが関係者への取材でわかりました。JAXA=宇宙航空研究開発機構では、実験の期限となっている来月4日まで再挑戦を試みるとしています。
(少なくとも私の中では)話題にもなっていますし、アイデア賞でとても面白い実験だと思っていたので残念です。ミッションのサイトにある画像を見ると、ワイヤーは魚釣りのリールみたいにグルグル巻きになっているようですので、まさしく釣り糸が絡まってリールから出ないような感じの事態に陥っているのでしょうか。ありがちなトラブルですね。
このままワイヤーが出ずに終わってしまうのは惜しいですので、スラスターを短い間隔で噴射と停止を繰り返して振動を与えるなど、できる限りのことを試して欲しいと思います。一週間後には空の藻屑ですから、無茶しまくってください。
がんばれ中の人達!
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